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資本と戦略

「資本と戦略」の研究を初めて2年が経過しました

入門事業開発1 - 市場の選択-

こんにちは、中村です。2015年も終わりになりますので久々に更新しておこうかと思います。今回のテーマは良く日常的に聞かれる事柄ですが、市場の選択についてです。事業は釣りと同じく1に場所2に場所3に場所4が飛んで5に場所(市場)というくらい釣り(事業)の腕前よりも市場選択が重要であると考えています。良い市場を選べば時代の波が自分を押し上げてくれますが悪い市場を選ぶことは下りのエスカレーターを逆走して上に駆け上がろうとする感覚に近いです。さてでは「良い市場」とはなんでしょうか。

4つの要素で普段市場を見ております。その4つは1.市場規模 2.成長率 3.自社とのフィット 4.競合環境です。これらがすべてパーフェクトな市場はほぼありませんがバランスを見ながら市場選択することが重要です。これから起業を考える人や現在既に会社を経営しており、進出先市場の参考になればと思います。順に解説していきます。

市場規模 を見る時のポイント

そもそも市場規模とは

市場規模とは既定された市場の中にいるプレイヤーの売上合計値のことです。例えば紅しょうがベンチャーを始め、突飛なことをやり紅しょうがの定義でも変えない限りは紅しょうが市場のシェアを競い合う勝負となります。売上は当然市場規模以上になることはありません。数百億の市場にてベンチャービジネスを始める場合、自分が画期的だと思っても獲得可能シェアは7年で2、3%くらい獲得すれば上手く行った方だと想定したほうがよいでしょう。画期的に見えるリブセンスさんの成果報酬型でのバイト求人サイト、ジョブセンスも800億の市場規模に対してシェアは2%ないくらいです。夢をみず、冷静に売上計画を立てましょう。

市場規模で何が分かるのか

市場規模からはおおよその売上計画を立てる事ができます。自分が20億の市場を狙っているのか5兆円の市場を狙っているのかを理解し、投資計画などを作る参考材料になります。市場規模を見るときは当然サイズが大きいほうがよいのですが、特にベンチャーを始める場合、ほどよいサイズがあります。20億は小さすぎ、300~1000億くらいがほどよい感覚はあります(あくまで感覚)。小さすぎる市場においては自由度が極端に少なくなります。大きく成熟した市場は大企業の戦場であるので資本力での殴り合いになっているケースが多いです。小さな企業は数百億程度の市場がお勧めです。そこで力を蓄え近隣の市場にホップし続けるのが新しい企業の拡大の仕方かと思います。

サイズについて

まず重要なのはデカイ市場を選ぶこと。デカイ市場でないとそもそも会社の成長限界が市場規模により決定され、詰まってしまいます。「市場を作る」なんて言葉もありますが、ただしくは別市場に流れていた金の流れがやや変わる、くらいというのが新市場発生時の現象です。市場とは「ニーズがある」ことおよび「そのニーズに対して金を払う文化がある」という2つの条件で発生します。原子と同じく無から市場は発生しないので注意しましょう。必ず代替前の原型があります。特に後者の「そのニーズに対して金を払う文化がある」は是非注意して下さい。ニーズ=即市場ではありません、webメディアなどが端的な例ではありますがニーズはあるけどネットの情報に金を払う文化がないため利用者の割りに市場規模が極端に小さいです。

小さい市場でニッチという発想はありですが、それは大きな市場の中でのセグメントニッチと根本的なニーズとして小さいものでは性質が異なります。どういった違いかというと例えば人材という9兆円市場(5兆は派遣ですが)は「人を採用したい」というニーズが金となった現象の集合体です。この中で泳いでいれば仮説を外したりしてもピボットは容易です。泳いでいた経験でノウハウや顧客に対するアクセス、ユーザーなどの資源がたまるので自分の想定通りに100%進まなくともそこで築いたアセットは無駄になりません。

反対にナシゴレンのトッピング用きゅうり市場(あるかどうか知りませんが)であったらどうでしょうか。ナシゴレンを提供する店への営業、きゅうりの裁断、調達・・・など苦労します。ではナシゴレン向けきゅうりがヒットしなかったらどうでしょうか?残るものはナシゴレンを提供するインドネシア料理店へのアクセス、きゅうりの加工技術などの特殊なノウハウは残りますがそこからピボットをするにはかなりのアセットを捨て、さらに大きなエネルギーを投入しなければ横にずれることが出来ません。

新しい試みは失敗することが多いです。事業計画はほぼ当たりません。例えるなら細い一本の橋を綺麗に走り抜けるのが事業計画通りなのですが、横に転んでも後ろに転んでも何か残るようにしましょう。失敗したとしても勝つことを心がけましょう。

「市場を作る」はやめよう、我々はただのサーファー

こちら繰り返しですが、「市場を作る」という発想は結構危険です。こちらもたとえですが、経営者はサーファーです。決して波をコントロールしているわけではありません。波が起きるかどうかは自分のコントロール外のもの、サーファー(経営者)は波が起きそうなところを風や様々なもの(ユーザーの声や感覚)から感じ取りそこに張る。そして上手く波乗りをする。良い波であれば波が自分を押し上げてくれます、逆に悪い波(成熟過渡競争市場)では完璧に乗りこなさないと上手く波乗りすることは出来ません。悪い波、例えば現在の国内ラーメン屋市場でも成功する人はいますがスープから麺、立地まで完璧な品質を追求しなければその悪い波を乗りこなすことは出来ません。良い波を選びましょう。

市場規模からは市場は分かるようで分からない

市場規模は先行してその市場にいる諸先輩の努力結果です。矢野経済などはその先輩の売上を合計してレポートを出します。すると市場規模レポートが矢野経済に出るときには先行プレイヤーが既にひしめいている状況になります。その場合、大企業が巨大なアセットを用い進出する場合は別ですが、アセットに乏しいベンチャーでは同じモデルで参入した場合、資本、ノウハウなどで先行するプレイヤーに途端にキックアウトされます。ベンチャービジネスに限っては市場規模が分かった時点で既存と同じ手法で参入は危険です。市場規模レポートが出る前に「この市場は来る」という感覚を様々な定性的な情報から判断するセンスが必要です。

ここで重要になってくるのはセンスと共にビジョンです。ビジョン、要は人に見えないモノが見えている、現在ないものが来ると強く信じている。これがないと新興市場においては結構辛いです。「これは絶対に来る!現在のサービスは滅びこれがメインストリームになる!」と信じ、他社に先んじた施策を打ち戦いぬきましょう。

成長率を見るときのポイント

 市場を見るときは市場規模と合わせて成長率を見ます。成長率はかなり重要な指標です。市場の中に入ったあとに「成長率」を体で感じることになりますが、感覚値は下記のようなものです

 

20-30%:カオス時期、様々な参入者が現れコンテンツも固定していないが何やら来ている(例:クラウドソーシングなど)

3-10%:牧歌的、今までやってきたプレイヤーが平和に過ごしている。

-3%:既存大手でさえ苦戦の陰りが見える。単価が落ちる、営業でのバッティングが多くなるなどの現象が見える。

 

マイナス成長の市場は基本的に選択すべきではありません。マイナス成長に突入している市場はこれから下位企業の淘汰、最大手によるロールアップ、業界再編などが起きだす時期で同じビジネスモデルで参入するなんてのは危険です。成長している市場は適当に戦略組んでも結構どうにかなります。セグメントさえ絞ってまともにオペレーションをやっていれば波が自分を押し上げていく感覚になります(問い合わせが来るとか、ユーザーが勝手に増えていくとか)。

 

自社とのフィットとは?

これは結構分かりやすいですね、自社が持っている顧客なりノウハウなり人が活きる市場は競合に勝ちやすいということです。ベンチャーを新しく始める場合はアセットがないので、自社を「自分」と書き換えると分かりやすいです。例えばインドに住んだ経験がある、エンジニアである、英語が話せる、特定業界におけるコネがある・・・これはすべて自分が持っているアセットです。こういったアセットを活かせる市場であればエントリーがしやすいので優先して選択すべきです。ただし若い場合は中途半端なアセットに縛られてしまう可能性があるので敢えて何もないところに行くのはありです。若いときのアセットとかないも同じ場合が結構ありますので、純粋に市場環境だけをみるというのは選択としてありえます。

 

競争環境の読み解き方

市場エントリー前には市場全体やユーザーのトレンドと共に先行プレイヤーのポジショニングとトレンドを十分に理解しましょう。この市場はどのようなセグメントに分化しているのか、セグメントを切り分ける重要な軸は何か、そのセグメントにハマったサービス提供者(つまり先行社)はいるか、いないなら何故ないのか、そのセグメントの決定的なニーズはなにか、サイズはどうか・・・などが競争環境とその売上から結構わかります。特定セグメントに注力したサービスがありそこの売上が大きければそのセグメントは有望セグメントであることを示しています(強い競合があることを同時に意味する)。逆に特定セグメントに特化して伸びていなければ有望セグメントではないということですね。

新規参入する場合は他社と異なるセグメントを攻める場合、サイズは十分か、何故他社は手をつけていないのかを検討しましょう。同一セグメントを攻める場合はサイズが数匹の魚が泳げるほど大きいか、その大きなセグメント内でも他社と違った戦い方が出来るか、に注意しましょう。

知っておきたい基礎参考書「競争戦略の原理」

 市場が今後どうなるのか、その疑問に応えるためにはファイブフォース分析が有効です。スターウオーズとは全く関係ありませんが市場に働く力から市場の未来を大まかに予測する考えとして有効です。その成長が一時的な流行なのか必然的な流れなのかを判断出来、いつその成長が止まるか、そのトリガーは何かを判断出来るようになります。

 

競争の戦略

競争の戦略

 

 

 

常に四季報、業界地図を見て市場感をインプット

市場感覚を身につけるためにお勧めなのは毎日四季報と業界地図を見続けることです。トイレなどに置き読み漁りましょう。

 

会社四季報 2016年 1集新春号

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会社四季報 業界地図 2016年版

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また下記のサイトでは様々な業界の規模と情報が視覚的に見る事ができます。パチンコ3.5兆円などを見てしみじみしていきましょう。

visualizing.info

 

良い市場で戦おう

まとめますとサイズが大きく、成長しており、自社のアセットがあり、競争環境がゆるい市場が良いわけですがそんな完璧な市場はそうそうありません。バランスを見ながら市場を判断しましょう!良いお年を!