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資本と戦略

「資本と戦略」の研究を初めて2年が経過しました

業界ウォッチ1 驚異的な利益率を誇るオートオークション市場No1 : USSについて

普段四季報や市場規模マップ、業界地図、IR資料読み込みを趣味的に行っております。特に面白い企業や業界をフィーチャーする、「業界ウォッチ」記念すべき第一回は「USS」でございます。一般的に知名度は低いかと思いますが利益率は50%近い。これで売上も700億円ほどあり、小さなインターネットビジネスでもないので実に驚異的です。ちなみに私は業界の中の人ではないため、コーポレートサイトやIR、業界地図など浅い情報からの分析をしております。間違っている点などがございましたらご指摘頂けますと幸いです。

オートオークション市場とは?

あまり一般的ではないと思いますので簡単にオートオークションという市場について解説します。平たく言えば業者専用中古車オークション市場です。ディーラーが売り物である自動車を調達する方法は主に2つあり、1つは自動車の調達を自社での下取り、そして2つ目が「オートオークション」となります。自社在庫だけでは十分な在庫が確保出来ませんし、買い取り業者側は常に売り先があるわけではありません。こういった状況にいわば共有在庫を作るプレイヤーがいることにより取引が円滑になります。このオークションプレイヤーのNo1がUSSとなります。

ちなみにオートオークションに消費者も参加出来ればほぼ原価で買えるのでお得ですよね、しかし業界が崩れてしまうので消費者は一般にはオークションに参加出来ません。そこで、車の状態については自己責任となるためあまりメジャーではありませんがオークション代行会社という業態があります、消費者のリクエストを受け取りオークションに参加。マージンを少々乗せて消費者に提供します。

USS社の沿革

自動車産業のお膝元、愛知県に1980年に愛知自動車総合サービス株式会社として設立されました。1995年まではこちらの屋号でしたが子会社の株式会社ユー・エス・エス九州の吸収合併に伴い現在の屋号となっております。USSに込められた意味はUsed car Scramble and Survivalだそうです、戦闘的ですね。やや戦闘的過ぎる自覚があったようで上場の際にUsed car System Solutionの略であると変更がなされました。マイルドになっています。創業者は服部太元会長であり、創業時の年齢は50歳を超えていたという。地元の中古車業者の仲間を集めて会社を作ったそうだ。

業態としては立ち上げ当初からオートオークション一筋です。買い取りや販売にM&Aなどを通じ参入していますが利益貢献度はオークション事業が96.6%と圧倒的です。中古車販売事業においては売上構成で言えば15%ありますが、利益は全体の1.4%ですので如何にオークション事業の利益率が高いかわかりますね。車両評価やオークションのシステムもUSSのものがデファクトスタンダードとなっているようですのでこのシェアはそうそう崩れないでしょう。

USSは30年以上、業界のリーダーとしてオークションを拡大させています。地域の進出とともに、テレビ電話でも参加可能にするなど新たな試みも導入してきた経緯があります。コンビニで言うところのセブン-イレブンのポジションですね。

USS社の特徴

基本規模が効いてくるビジネスですので最大手という時点でその強みは圧倒的です。この利益率を生んでいるのは高シェアが主な理由となっているかと思いますので見ていて安心感のある会社です。注力セグメントとしては輸出に適している低価格帯のものにフォーカスしているようです。国内自動車市場は中古車の登録台数が2011年を底に回復には向かっておりますが決して明るくありません。自動車人口の減少と共に軽自動車へのシフトの流れがあり単価も減少しています。海外への輸出向け需用を如何に捉えていくかが一つのポイントとなるかと思います。

株式の状況

これほど大きなプレイヤーなので商社や自動車会社の手がついているのかと思いきや株式は特定利害関係がありそうな株主はおらず個人の持ち分も現役員のものである。副社長の持ち分が社長の持ち分より多いのはやや気にはなるが・・・。大株主の一つであるBBH for Fidelity Low Priced Stock Fundは公開株に投資するファンドですので気にするものでもありません。

中期経営計画分析

さて、USSは潤沢なキャッシュおよび国内での30%(2位はTAA9.9%)を超えた圧倒的なアセットがあるわけですがその行く末や如何に。

まず既存事業については引き続き拠点を自社で新規構築もしくはM&Aをつうじ拡大していくようだ。他インターネットを用いてオークションをより効率化する取り組みを検討している。

気になるのは新規性のある取り組みであるがJVとして作り51%株式を保有している中古車解体リサイクル分野のグループ会社「アビズ」の成長率が目立つ。オークションで仕入れができるので横の領域に展開が上手く進んでいるようだ。売上は70億と10年で大きく成長、利益も2014年から6億円を超えてきているがオートオークションの利益が圧倒的過ぎて地味に見えてしまう。

得られる示唆

早期にオートオークションという成長市場を見つけ30年以上、懸命な努力を続けた結果が現在のUSSを作っている。成長市場を見つけ実直に努力、重要です。

 

参考資料:会社四季報 業界地図 2016年版、USS社IR資料、コーポレートサイト

ちなみに服部元会長の著書もありました。さすが戦闘的です。

経営は戦争だ―USS服部太物語