資本と戦略

「資本と戦略」の研究を初めて2年が経過しました

UIでは既存手法の壁を超えられない - チャットは何を変えるのか-

チャット系の記事第二弾です。先日のチャットボットに関する考察記事ではチャットボットの適用範囲について議論し、完全なチャットボットはエンタメ目的かユーザーの発言を選択式などにし強く用途を制限したものでないと難しいと考えているという結論で書きました。

yojiworks.hatenablog.com

後半部ではチャットUIは浸透を続けるであろう、という結びにしたのですがではどのようなチャットUIのサービスであれば媒体や対面など既存のコミュニケーション手法を代替することになるのでしょうか。条件としてはチャットUIを適用する領域、またチャットUIを通じて何を提供するのかという部分が議論の中心になるかと思います。これを分けて考えてみます。尚適用範囲で考える領域ですがB(法人)とC(消費者)の組み合わせコミュニケーションという分類で考えると次の3領域をあげることが出来ますがここではB⇔Cのコンシェルジュ型サービスのみ考えるものとします。具体的なサービス分類をすると次のようになります。

C⇔C(LINE,facebookなど)

B⇔C(ietty,jobkulなど)

B⇔B(chatwork,slackなど) *社内含む

領域:重すぎず軽すぎない相談市場

B⇔Cにおけるコミュニケーションの方法は1対1対面、イベント、電話、メール、チャット、媒体という6つの手法が主になっています。その中でチャットが果たす役割は1対1対面は精神的コストが重い・移動や時間の確保が面倒であるが媒体では双方向のコミュニケーションが出来ないため効率的な意思決定が出来ない市場です。目立つ市場としては人材(就職・転職),不動産仲介,金融商品販売などが例として挙げれます。それぞれ数千億という市場規模を持っており特にスタートアップが参入するには十分な規模と言えます。当然コミュニティ重さレポートなどこの世には存在していないのでチャットによるコミュニケーションが適用可能か否かはあくまで感覚値になりますが

不動産売買:重すぎる、大きすぎる決断のため対面でのプッシュや信頼感が必要。ただしリスト獲得のための入り口としてはほどよいかもしれない。

賃貸仲介:媒体を素人が見ても良い物件とそうでない物件の判断が難しい、街の雰囲気がわからないなどの課題を解決出来る可能性を持っており、かつ重すぎる判断ではなく、軽すぎでもないので程よい

EC:あまりに軽い判断であるためチャット上での相談自体が面倒である。高単価でない限り媒体が適しているがECと高単価商材(5万円以上など)のフィットは悪い。

このように、対応コストがかかるチャットUIによるコンシェルジュサービス提供においては単価の下限が存在し軽すぎる市場では黒字化せず、一人あたりコミュニケーションコストが低い媒体が適している市場となり、決断が重すぎる市場では相手に判断を促すほどの信頼関係を構築することが難しいため、対面への入り口としての立ち位置しか担うことが出来ないと思っています。

「相談市場」という言葉は私の造語なのですが「対面でプロに相談しながら意思決定をする市場」という定義で少なく見積もっても1兆円を超える市場規模となっていると思います。この一部のチャットにフィットする領域で対面がチャットへと置き換わる流れがあり、高成長市場に乗るというのが弊社のようなチャットを通じてコンシェルジュサービスを提供している企業の立ち位置です。

提供内容:ナビと同じ結論では無意味であり独自のアウトプットが必要

前半部が長くなってしまいましたがこれを強調しようと思い今回の記事は書きました。見出しの通りなのですが私がナビサイトで検索して出てくるアウトプットと同じでは媒体と同じ価値になっており、双方向のコミュニケーションという十分にチャットの価値を発揮しているとは言えずユーザーが新規のサービスを導入するという壁を乗り越えられないのではと様々なチャット型のサービスを使ってみて感じています。

チャットUIは媒体(ナビなど)と比較すると様々な欠点を持っています。

・新規の手法であるためユーザーが慣れていない

・応答速度に劣る

・使うためにDLや友達追加などの工数が必要

これらの欠点を乗り越えそれでもユーザーが慣れないチャットを使う意味は何かを明確に出来ていないサービスは伸び悩むのではないかと感じています。明確な価値とは例えば不動産であれば独自の視点やユーザーのニーズを明確化してくれるサービスをチャット上で提供されるため通常の媒体では発見が難しかったが実は自分にフィットしている物件が短時間で見つかる、などです。UIだけをチャットに変更して「渋谷 15万円 1LDK」という限定された文章しか解析せず、アウトプットも媒体も同じであれば媒体のほうが使いやすいです。

UIだけに注目せず、チャットを通じ何が実現出来るのかが明確である必要がある

広告枠、媒体(雑誌、web)、イベント、チャット、電話、対面とかなり広くのコミュニケーションサービスを提供している弊社ではユーザーとのコミュニケーションにどの方法が適切なのか、それはなぜか、ということを常に考える状況にあります。何かと話題のチャットですが当然万能の道具ではなく利点欠点を含むオプションの一つに過ぎませんのでその考察として本記事を書いてみました。チャットやコミュニケーションについてのご相談はfacebook(Yoji Nakamura)もしくはnakamura(a)sciseed.jpまでお気軽にお願いします。是非情報交換しましょう。